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伝統を受け継ぐ~薩摩糸びな作りに初挑戦~

鹿児島県指定伝統的工芸品の「薩摩糸びな」に初挑戦しました。

薩摩糸びなとは、姿はシンプル。顔が無い、髪毛は白い麻糸。
麻は強くて丈夫なため、子供の健やかな成長を願った人形です。
高さ40センチの女雛、男雛で、顔は無いが麻糸の長い髪が特徴。
十二単衣と金襴の着物を着て、手描きの衣装をまとい、上品で可愛い、凛とした立ち姿は、どこにも見られない雛人形です。

江戸後期の糸びなで、昭和初期に一度途絶えてしまいましたが、今回ご指導いただいた新山先生のお母さまが復元。現在は新山先生が一人で手作り、制作しています。

今回、薩摩糸びな作りに挑戦したのは生徒会長と副会長の2人。
お見送り芸人しんいちさんと一緒に最初から制作しました。
着物を重ねて着せるところがスタート。
とても細かい作業に悪戦苦闘していましたが、先生の優しく丁寧なご指導の下、美しい糸びなが完成しました。
時間が経つのも忘れて黙々と糸びな作りを楽しんでいました。

そして、制作途中で新山先生から聞いた糸びなの歴史や時代背景に、伝統を守ることの大変さに改めて気付くとともに、たくさんの方々の想いや「薩摩糸びな」に出会えたことへの奇跡を感じることができました。そして、何より1度途絶えてしまった「薩摩糸びな」を復活させ、引き継いでいるエネルギーにとても元気をもらいました。

本校も今年で90周年を迎えました。

本学園の前身は1933年創立のカナダ人シスターによる「聖名高等女学校」。当時の戦況悪化と共に経営が困難となり、カナダ人のシスターは純心のシスターに会う事も出来ないまま慌ただしく帰国されました。しかしその後、長崎から純心のシスターが家財道具とともに鹿児島に到着した時、そこに残されたものは聖堂に飾られた花、整然と並べられた食器・道具類、きれいにアイロンがかけられたトイレの手ぬぐいなどの、質素な中にも祈りと共に整えられた品々でした。この時の様子を純心の創立者で学園の初代理事長シスター江角ヤス先生は「高貴な芳香に包まれた思いがしました」と表現し、ご自身も生涯そのような生き方を実践されたそうです。

このお話は入学後のオリエンテーションで必ず1度は耳にするお話です。

「薩摩糸びな」も「純心」も、たくさんの方々の想いがつながり、今があります。先代の先輩方が作ってこられた伝統を受け継ぎ、新たな純心を築いていきたいと思います。

今回「薩摩糸びな」作りにかかわってくださった皆様、ご指導してくださった新山先生、本当にありがとうございました。

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